sonic&trip-「AKIRAの文学音楽」

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2007年 11月 09日

その名はPAUL BEUSCER 。

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これは僕のギター。一週間前にウチにやっとこさ、この子はやってきた。

僕とこのギターはこの夏フランスのコルシカ島で出会った。殆ど運命といっていい。それで本当にウチまで来ちゃった。


コルシカ島に住むピエールさんっていうアコーディオン奏者シンガーソングライターのおじいちゃんが僕に譲ってくれた。

僕はピエールさんの家の地下にあるガレージの隅でこのギターを見つけた。

遠くでみんなの話し声や笑い声が聞こえる。
僕はギターをじっと見た。
PAUL BEUSCHER?知らないメーカーのギター。

でも素敵なギターだった。すごく上品で気品があるけどどこか自信がなさそうと思った。


僕はこのギターが気になって仕方なくて何度もピエールさんにギターのことを聞いた。
あのギターはもう弾けないの?
ガレージの隅にあるギターだよ、あのギターは何なの?
ピエールは弾けない、あれはもう無理だと言った。


でも僕はピエールさんが君の歌を聴かせてほしいと言われたときにそのギターで一度弾いてみたくてやっぱりガレージに一人で取りに行くことにした。
ギターはボロボロだった。弦も切れてたし、ネジもガタガタだ。


でも僕はそれを取りに行ってピエールさんに「夢の日々」という歌を聴いてもらった。

ピエールさんは僕のことを真っ正面からじっと見ていた。一度も目をそらさずに僕を見ていた。
それから僕はピエールさんの曲にドラムを叩いたりして遊んだ。


帰る前、ピエールさんがこのギターを持っていっていいよ。と言ってくれた。
僕は驚いたし、はじめ何度か断った。
ピエールさんの奥さんが僕にギターを押し付けてくる。
ほら、早くピエールがそう言ってる内に持ってくのよ。ほらほら、もらっちゃいなさい、あなたのものよ。


話を聞くとこのギターのメーカーの創立者とピエールさんは昔からの友達で彼がピエールさんに特別にこのギターを作ってプレゼントしたんだという。
その友達は2年前ヘリコプター事故で亡くなった。
でもピエールさんはギターをあまり弾けないしこのギターは今まであまり弾いてもらっていないから、可哀相なんだと。

ピエールさんはこのギターで曲を書いてくれ。君みたいな子をこのギターは待っていたんだから。と言う。


そして、僕はこのギターを抱えてピエールさんのお家を後にすることになった。
お礼は言い足りなかった。
曲を作るしかないと思った。

そしてこのギターはパリで完璧に修理してもらった。キズついてはいるけど殆ど三十年前に作られたときと同じに戻って僕の部屋にやってきた。

僕は早速一曲書いた。一週間かかって、でもまだ少し未完成だけど。

「ラストロマンス」という曲。


いつかやりたい。おっきなステージ。まぶしいライトがすごく暗くなる。真っ暗闇でスポットもなしで。
目を閉じると僕たちはあのガレージの中に戻っている。
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by sonic-trip | 2007-11-09 01:17


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