sonic&trip-「AKIRAの文学音楽」

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2009年 04月 25日

ストレイシープ。

今日の雨の音は何だか落ち着くのでいい感じだ。
いつか近くに川とか滝が近くにある家に住めたら、いつもこういう気持ちいい水の音が聞こえるのだろう。

最近はバンドで更に新曲をやっていこうということになってる。
最近僕が曲を書いてるわけじゃない。むしろ最近は何も出てこない。
でも、ソニックには沢山、「何となくやり損ねた」曲が何曲もある。
それをやってる。
マリっていう曲とか、bang,bang.って曲とか。


古い曲で「新しい境地が見えてきた」ってわけじゃないけど、古い曲で、見過ごしていた大切な側面をはっきり掴んだような感じ。
それは昔の写真を見返して、逆に今の自分を根っこから大切にできるような、新鮮な気持ちに生まれ変わるみたいな気持ちで。嬉しい。やっぱりバンドは曲によってそれぞれ合わせるべき時期が来るんだなぁと思う。昔は難しいことばかり考えて全然できなかったのに。

雨の音を聞きながら、ノアはどこ?、ストレイシープって曲があったことを思い出して歌ってみた。
それは昔の僕が、こんな歌い出しで僕を呼び寄せてくれた。

ストレイシープ

「この声が 聞こえるなら ここまで来て」
もっと他にあるかもって思い出したらキリがないし 今夜 君と出よう

車窓を流れていく 黄昏の街並みを 全て 全て閉じ込めて

何を、見てるの? 何か、したいの?

泣きながら歩く 迷子の男の子 あれが僕だよ

いつかもし僕のコトバがなくなったとして 時々僕のこと話してね
いつかもし僕の旅が突然終わったら「心の中で」 歌ってほしい

飛び出したのは いつのことだろう
僕は天使にも 悪魔にも なれないまま

そばにいるよ・・・ 何もできずに

「ここが全然、どこだか分からないや」
泣きながら歩いてる 迷子の男の子
あれが、僕だよ
あれが、僕だよ・・・

あれが僕だよ

君も そうだろう?
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by sonic-trip | 2009-04-25 17:47
2009年 04月 16日

こころ。

渋谷duoでのライブが終わりました。見に来てくれたみなさん、どうもありがとうございました。

セットリストです。
1.カトレア
2.no place
3.存在の耐えられない軽さ
4.違う次元での愛の話
5.yes,please.

普段より大きいステージで気持ちよくやれました。お客さんも座って聴ける形だったし、僕はああいう雰囲気でライブがやれるっていうのは、個人的にやりやすくて好きだった。

最近は夏目漱石の「こころ」を読んでる。友達が読んだって言ってて、その話を聞いたとき、話の流れは覚えてるけど、文章の細やかなところは全然覚えてないな、と思って。
かずくん家で練習してるときも本棚からこの本が飛び込んできて、かずくんと「こころ」について話をし、ついで、掃除をしていたら高校時代の手紙が出てきて、ここにも「こころ」のことについて書いてある。何かこれだけ目につくということは読んどいた方が良いなと思った。
そして、これが本当にすごい。完成された私小説というものを挙げろと言われたら、僕はこれからはこれを真っ先に挙げるようになるかもしれない。読むの遅くて、まだ第一章も読み終わってないのにこの絶賛ぶりは変だけど、もう読み終わる前からあえて絶賛する。
完璧なまでに美しい。
高校時代の先生が僕にこれを勧めてくれて僕は一生懸命読んで、感動はしたのだけど、こうまで時間が経って変わるのはすごいと思う。


今日は二日分くらいのブログの内容になってしまう。
もう一つ。
毎朝起きると「スタンゲッツ」というジャズの人のアルバムばかり聴くようになっている。
インストゥルメンタル音楽で僕が一番気にかけているのは、その楽器の鳴らすメロディーや音が「詩になっているかどうか」っていうことだ。それはジャズに限ってじゃなく、クラシックでもなんでも、楽器というものは詩になりえると思う。
スタンゲッツの吹く音は詩情に溢れている。
そこに彼の、いや彼よりもっと大きな何かの、全存在が吹き込まれてる。
優しさ、孤独、絶望、激しさ、穏やか、色んな表情がその音の中に宿っている。それは単一的にではなく、同じ一瞬の中に多次元的に存在している。それが本当の詩というものだと僕は思う。
嬉しくて悲しくてやりきれなくて、でも生きる力に溢れている。それが詩の生まれてくる場所だと思う。


ゴッホの靴の絵を見た時にも思った。それはただボロボロの靴の絵が重量感豊かに描かれていた訳じゃない。
そこには貧しさや不安、一分一秒それらから自分が逃れられないこと、若さ、ひたむきさ、そういったものが渾然となって靴という確固たる存在に生まれ変わってた。
ずっと眺めていると僕は小さい頃に友達と遊んだ風景まで浮かんできた。そんなにそれが寂しかった訳でもないのに、涙がいっぱい出てきた。感じたことのない寂しさだった。きっとゴッホはそういうものが本当に懐かしかったのかもしれない。僕はそんな暖かさをその絵に教えてもらったのかもしれない。
詩というものはそういうものだと思う。

だから僕も次に何か曲を書く時は、勿論今までだってずっとそう思って、それしか思わないで曲を作ってきたけれども、何かの全存在に、何かの全存在が宿っているようなそんな曲が書きたい。
寝起きにスタンゲッツのソロを聴くと、ハッキリとそんな気持ちになる。




p.s.
いつか同じようなことを友達が家に遊びに来た時に話していたら、お前、それは死ぬしかなくなるからやめろ、と笑われた。
君が書いたブログを未だに僕は大事に持っている。それを読んで何度か心を痛めている。今更謝ってもしょうがない。僕はKだ。僕は僕と君の、あの頃の相容れなかった未熟さとナイーブを一生かけて愛するだろう。それを君に面と向かって打ち明けない僕はハッキリ言って変態だと思う。ブログで暗に、公に打ち明けられたものは、ブログで暗に、公に打ち明けようと思う。君も僕の書いたあのくそったれな手紙をまだ持ってたりするんじゃないの?次に会う時まで。
でもミスタ、僕は天才じゃないから君の懸念する領域に一生かかってもたどり着けるか分からないし、長生きすると思うよ(笑)
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by sonic-trip | 2009-04-16 15:40
2009年 04月 08日

soー far。

15日の渋谷duoでのライブ、ソニックの出演は20:00からです。よろしくお願いします。

昨日から家のリフォームが始まっている。でも僕の部屋は何も手を付けられることはない。
姉と妹の部屋が絨毯からフローリングへと変わる。
その前の二日間は引っ越し並みの大忙し!
部屋を全部空にしなくちゃいけないのは、本当に大変だ。姉の部屋の掃除が終わったとき、僕の体の中まで空っぽになったような気がした。でも空っぽは案外気持ちが良いものだった。
それで、昨日の夜は姉のいない、絨毯の剥がされた殺風景な部屋でコーヒーを飲んでみた。一日だけしかない、貴重な旅行のように思えた。14年前ここに引っ越して来た時、そういえば、家が完成するまでに何度か父とこの家を見に行ってこんな風な殺風景な部屋を眺めながら、どんな家になるかわくわくしてたような思い出がある。
そこにはイメージが映し出されていて、何かが生まれていた。
でも今この部屋にそれはない。新しいイメージもなければ、失われた風景しかない。

することもないし、眠れないので僕の部屋にあるプロジェクターを持ってきて明け方まで映画「ニューシネマパラダイス」を見直した。
姉のベッドは明日粗大ゴミで出す。もう家の外にある。
姉がもう家に帰ってこないんだなと初めてよぎった。
5人でここで生活した時間は、家を建てたとき、そこから永遠に始まるように思えたのに、それは案外少なかった。

映画の中に「僕が子供の頃、お母さんはずっと絶対的な大人っていう存在だったのに、お母さんと同じくらいの歳になって、どれだけお母さんが一人の人間だったかっていうのがよく分かったよ」みたいな台詞があって、モリコーネの音楽と一緒に僕の空っぽの胸の中に沁み渡った。


それと関係はない話だけど、最近朝キッチンで妹と何度か話してることがあって。
妹は「自分って何も分かってないんだな。世の中の人たちは本当に凄いな」といつも思うらしい。
高校生の時は何か言われると「分かってんだよそんなこと」って思ってたけど、今は当たり前の言葉にはっとさせられたりするらしい。
僕も何となくそういう気持ちは分かると思った。
僕は妹と違って、高校生のときはまだ色々頭の中ぐっちゃぐちゃだったけど、20歳くらいのとき、「なんだ、・・・僕は全部分かってるじゃん。明るいとこも暗いとこも。世の中の全部」って思ってたことがあった。そういう気持ちのピークだった。
でもそれからの5年間、気づくと僕はどんどんどんどん分からなくなってる。混乱して、底のない沼にはまっている。大した変化はないのかもしれない。でもそれは、僕がもうどこにも行けない証拠かもしれない。自分以外の人のことが分からなくなり、自分のことも分からない、生きていることも時間ということもみんな。どんどん分かんなくなっていく。
一人で部屋にぽつんと何もせずに立っている。案外おかしな風景だ。何をするわけでもなく、海の前にずっと立たされてるみたいに、これ以上どこを見てていいか分からない、底のない部屋の中に立っている。
きっと板張りでむき出しの姉の部屋もいつかまた命を取り戻すみたいに、僕の中にある底のない部屋にも、座ってくつろげるソファーができる日があるかもしれない。最後はそんな風に考えて眠りについた。
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by sonic-trip | 2009-04-08 12:26